先述したように、公共ホールを独立採算による管理運営は極めて困難です。それを実現させるには、より企画力・運営力のある運営者を選定し、そのノウハウを最大限に発揮してもらうための環境づくりが求められました。

 しかしながら、通常のPFI事業の事業者公募では、設計から運営・維持管理業務それぞれの企画提案に係る得点を合算した評点をもって優先交渉権者が決定されます。当該事業の実施に必要な能力・技術力を総合的に評価したい場合においては、この方法が適していますが、この事業のように、最も優れたホール運営者を選定したい場合には不向きです。通常の選定方法では、ホール運営に係る提案内容が次点以下であったとしても(他の応募グループより低かったとしても)、総合点が最も高ければその応募グループが優先交渉権者に選定されることになるからです。
そこで箕面市が導入したのが「サービスプロバイダー方式」です。サービスプロバイダー方式では、まず運営管理予定事業者を選定し、その意見を反映して設計・建設、設備などの要求水準書などを作成します。運営管理予定事業者の募集は施設完成後に運営主体となるSPCに加わることを条件としたうえで行います。運営事業者の選定を切り離すことで、運営事業の質を確保しようという狙いです。

 運営主体を先に選ぶPPP手法としては、例えば、特定建築者制度(関連記事)、活用提案型指定管理方式(関連記事)などがありますが、PFI手法で運営するホール事業としては、筆者が把握している限りおそらく国内初の試みです