著作集

「日本史の謎は地形で解ける 環境・民族篇」
・信長は何故安土に城を建てたか? 信長の原風景 津島→安土城 (湿地帯、水運で流通と交通が交差)
・稲作文明は何故湿地帯を克服できたか? 腰までつかった水田=治水=水抜き=国土を生み出す=利根川東遷、関屋分水路
・家康が駿府を終の棲家に選んだ理由 静岡=遠浅の砂浜(安部川の土砂) 鎌倉と同じ
・リサイクル都市ー江戸の崩壊 人口増による下水道=においの封じ込め
・日本は生きたリン鉱石の宝庫 渡り鳥の糞←田んぼダム 人糞=下水道システムの整備
・江戸城の天守閣は再建されなかったか? 江戸の町のインフラを優先
・勝海舟が治水と堤防で明治政府に怒ったか? 治水(水位を低く+水圧のかかる堤防の基礎は深く掘って強化)の原則を守らなかったから
・正倉院の宝物が盗まれなかったか? 奈良の密集した町の目
・江戸時代に車が退化したか? 牛を家族のように扱っており 去勢できなかった牛は、道中で暴れて危険
・9歳の本因坊が東海道を一人で旅をできたか? 各藩の治安監視は厳しかった。雲助、追剥は作り話
・京都が日本の線路誕生になったか? 京都と大津を結ぶ牛の通る道=車石 琵琶湖疏水の蹴上発電所=京都市内路面電車(1895)
・大阪の5.10日が混雑する理由 顔を見に行く=信用の決済日
・大阪は日本の都市の原点 地籍確定率の低さ=歴史の密度の濃さ 狭い路地から生まれた人情 皮膚で他者を感じる
・間引きされた地図は情報力を高めるか?「高さ」だけの地形図 情報を削り取る力
・日本が雪国文明で発展した理由 島と雪に閉じこもる=縮み志向=詰込=価値を付加する 但し縮小と循環には新しい物語(熱情)が必要。
・日本は海面上昇でも存続できる 日本の70%は山地 但し文明の撤退と再構築は必要 エネルギーには水力がある
・日本語は分裂せず生き残る 参勤交代=情報発信システム 方言が独立した言語にはならなかった
・日本は100年後の未来にも希望がある エネルギー資源の縮小→水 人口減少→ロボット 寧ろ2000年が特異点

「日本史の謎は地形で解ける 文明・文化篇」
・欧米の植民地化を免れた 資源が何もない、災害が恐怖 幕府は藩を流域に押し込める→強固な封建社会 ⇒鉄道による東京集権国家
・平均寿命をV字回復 後藤新平がシベリアから持込んだ塩素殺菌(程谷曹達工場)を水道水へ⇒大正10年から
参考 松野誠也 科学史研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhsj/58/290/58_144/_pdf/-char/ja
・家康の利根川東遷 北への防衛線 湿地の関東平野の乾田化
・江戸は世界最大の都市になれたか 下部構造のインフラは年貢=地方の財力と労力(お手伝普請)で、上部構造は参勤交代で成立
 現在も東京に集中する鉄道、学生の消費。メディアも東京集中で地方の現状を報道せず。地方の衰退は東京の衰退であることを報道すべき
 豊富な森林エネルギー+荒川、利根川等の舟運(歌川広重の筏の例)+全国の森林(木曽川、紀の川)と船運
 森林衰退⇒黒船=化石エネルギーとの邂逅
・横浜村が近代日本の玄関になったか?大きな川がない=船の接岸が容易⇔水がない ⇒水道の敷設 パーマーが道志川から導水
・北海道が稲作地帯になった理由 石狩川をショートカット⇒流下能力を上げる→河床を掘る⇒地下水の水位を下げる→泥炭層で稲作可能
 北海道の歴史からの自由⇒未来の日本の歴史を背負う(温暖化により北海道が農作の適地になる)
・上野の西郷像が何故、そこに建てられたか?西郷の服装=山野で狩りをする服装=新政府、幕臣の両方に対する慰霊(樺山資紀)
 位置=彰義隊の墓と黒門跡を結ぶ直線から避けて建てられている
・信長=弱者⇒新しい工夫 桶狭間ー総大将の死=跡目相続の混乱→今川軍の混乱 長篠=弱者の恐怖にかられた戦い 石山=交通の要衝 
・縮める日本人 日本人は歩く(馬、牛は利用しにくい)
・将棋は取った駒を使える 駒が平型=とった駒を使える 道具が変わったからルールが変わる 日本人は旅に持ち歩くから平型になった
・日本の国旗は太陽 熱帯での労働は苦役(太陽は暑すぎる)温帯での労働は健康で喜び 土地の気象が人々の性格、生活様式を規定する。  
 日本=災害列島=無原則性=無常 ⇔ 神教(絶対・永遠)と正反対 太陽は日本文明の拠り所
・「もったいない」 日本人は移動しない 物は限りなく変化するが そのたびごとに役目を変える
・日本文明は生き残れるか? 水力がある 今後はダムの嵩上げ 分散(小水力)
・ピラミッド ナイル西岸は堤防「からみ」、ギザ台地の三基は、灯台

日本史の謎は「地形」で解ける
・比叡山焼き討ちの理由 逢坂の狭隘な地形⇒桶狭間と同じ
・頼朝が鎌倉に幕府を開いた理由⇒安全(山と遠浅の海)、衛生(京都は汚い)、水、(流人を入れない)
・元寇が失敗に終わった理由⇒泥で牛馬が進めない+鬱蒼した緑
・半蔵門は裏門か⇒甲州街道⇒新宿通りは尾根であり正門となる それ以外は湿地
・赤穂浪士が討入りに成功した理由 警備が厳しい麹町(平河天満宮)に潜伏 ⇒幕府は吉良家を葬りたかった
・幕府は吉良家を抹殺したかった 関ヶ原の戦い後、朝廷とのパイプのある吉良家を利用し征夷大将軍に
1605 矢作川付け替え 吉良家は朝廷との関係で高い地位を保持⇒幕府はこれを潰したい
・47士は、何故泉岳寺に埋葬されたか 浅野家の菩提寺に葬ること、江戸の入口で世間に広まる
「忠義」の名のもとに吉良家を潰す
・なぜ家康は江戸入り直後に小名木川を造ったか?⇒海に影響されない軍事用の高速水路
 (行徳の塩田、利根川の物資)。佃島⇒堺から連れてきて船の操縦を任せる
・江戸100万人飲み水を何故確保できたか? 虎ノ門堰堤(溜池)+玉川上水
・何故吉原遊郭は移転したのか? 日本堤と墨田堤で荒川(今の隅田川)を治水 その上を歩く
・実質的な最後の征夷大将軍は誰か 毛利一族(狩猟民族が表舞台から消える) 攘夷=稲作共同体市場主義
・なぜ江戸無血開城が実現したか? 広重の船の絵から着想 西郷・勝会談=日本人の一体感を支えたものは船
・なぜ京都が都になったか? 交流軸は栄える(宮崎市定)=敦賀+琵琶湖+淀川 地形上の必然
・日本文明を生んだ奈良はなぜ衰退したか 交流軸からはずれた。ルートが京都へと変わった
・なぜ大阪には緑の空間が少ないか? 大阪は庶民の町(権力者は広い土地を確保できる)
・脆弱な土地・福岡はなぜ巨大都市となったか 都市が反映する条件=安全、食料、エネルギー、交流軸
水=那珂川は小さく、水は筑後川から貰う。B型肝炎ウイルスのr型 ごみ漂着分布=南方系と北方系の接点
・二つの遷都はなぜ行われたか? 奈良=水と森林はあったが小さい。森林伐採⇒土砂崩壊⇒水はけ悪い⇒汚水
家康=関西の山地荒廃 利根川の森林+水運による全国の森林

吉村氏・エコノミストonline 2022/9/12・月刊カレント 2022.9

大阪大東水害訴訟(1984)
・1972豪雨:行政側の責任を限定的に解釈

鬼怒川水害訴訟
・2015 鬼怒川の堤防決壊 住民の訴訟により 国の責任を一部認め損害賠償を命じる(水戸地裁2022.7)
⇒・若宮戸地区 治水で重要な堤防の役割を果たしていた砂丘を河川区域に指定しなかったために、民間会社による砂丘掘削を招き、堤防決壊の上、水害につながったと判断
⇒・上三坂地区 堤防が低いことは「他の治水の安全度の低い堤防から優先的に整備する「鬼怒川の改修計画」が格別不合理とは言えない。

宮古島伊良部島 
2018 ホテルを経営する2社が 断水による営業の損害賠償を水道管理者である宮古島市を訴える(国仲配水池に設置されていたボールタップ(フロート弁)の不具合により配水池への流入量が不足したことが原因)
・宮古島市「水道事業給水条例16条第3項」給水の制限または停止のために損害を生ずることがあっても、市はその責めを負わない。
(16条第1項:給水は、非常災害、水道施設の損傷、公益上その他やむを得ない事情および法令または、この条例の規定による場合のほか、制限または停止することはない)
2020.8  那覇地裁(1審) 市の重過失は認められない
2021.1  福岡高裁 1審判決を支持 控訴は棄却された
2022.7 最高裁が福岡高裁に差戻:水道法が災害などの「やむを得ない場合」を除き、水道管理者に常時の給水を義務付けていることから、断水が「やむを得ない場合」である例外かどうかを検討するよう審理差し戻し
2023.12 福岡高裁が請求を棄却した1審判決を変更し、例外に該当しないと判断、装置を取り換えて断水を回避する義務があったとして,市に200万円の支払いを命じる

参考:和歌山市水管橋崩落事故(2021.8) 水道条例大18条をもとに補償せず

・市の給水条例が、水道法の範囲を超越し「水道施設の損傷」が免責事項として条例に記載されている。
⇒57年の水道法制定以来、多くの自治体では免責事項を定めていたので対策が必要

山梨学院ロー・ジャーナル 三好規正「水害をめぐる国家賠償責任と流域治水に関する考察」
大阪大東水害訴訟(1984)
・1972豪雨:行政側の責任を限定的に解釈 改修不十分な河川について過渡的安全性で足りる
⇒・平作川水害判決(横須賀1985)、平野川水害判決(大阪1987),長良川水害墨俣判決(1984),

多摩川水害訴訟(1987)
・1974 左岸本堤が決壊
・1979 1審 河川管理の瑕疵を否定(大東水害判決を継承)

その他事例
・1992 「多摩川水害訴訟差し戻し審判決」改修済みだった堤防が決壊したことから国の管理責任を認める。
・2000 東海豪雨水害訴訟 新川洗堰を閉鎖しなかったのは国の責任として訴訟
・2010 2審も住民敗訴 ・2012 最高裁で住民敗訴確定
⇒豪雨後、国は洗堰を1メートル嵩上げ

危機と人類(ジャレド・ダイアモンド)~危機を脱するのに役立つ
*時刻が危機のさなかにあることを認識する
*変化する責任を受け入れる(他の国を責めるのではなく)
*変化する特徴を見極める
*支援をしてくれる他国を見出す
*手本となる他国を見出す
*忍耐力を持ち、最初の対策がうまく行かなくても次に進む
*重視すべき基本的価値観とそうでないものを分ける
*公正な自国評価を行う。

 

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