南家城川口井水

三重県津市の南家城、川口地区は、雲出(くもず)川が 中流域で山間部から台地に出るところに位置し、その河岸段丘上にあるため、古来よりに水不足に悩まされていた。
平安時代、両地区がそれぞれ灌漑施設を開設、江戸時代(1729年)に 二つの井水は結合した。
用水路管理にとって、大きな障害となる水の分配規定については、細かいルールが制定されたうえで、数百年にわたりその水利慣行が受け継がれてきている。
その歴史的文化的価値が認められ、2016年に世界かんがい施設遺産に指定される

概要:頭首工から排水口まで幹線路で約7~8km 灌漑面積 320ha
標高:頭首工(取水口-headwork/intake facility) 74m hts.→家城神社 64m hts.→川を越える 58m hts.→排水口 31m hts

頭首工

雲出川の堰(魚道もあります)

取水口(堰とめた水を川の右岸から取水)

南家城地区から川口地区へ

左側は家城神社。手前が家城地区 奥は雲出川

手前 南家城 奥は雲出川 右は川口地区へ

南家城地区は 1km上流の雲出川から水を引くことで 比較的早くに用水路を通すことができた。
しかし 川口地区においては、現在の頭首工より300メートルほど下流から取水し、家城地区を通らずに雲出川沿いに川口地区まで用水を通そうとしていたが、うまく行かず 長い間 水不足に悩まされていた。
江戸時代、南家城地区と協議の結果、その時に既に利用されていた南家城の用水を通して川口地区に水を引くことになった。
現在、用水全体の管理は南家城川口用水として一本化されている

川を越える

南家城川口用水は手前から流れて、右から流れてくる川に一旦合流、その奥の分水工の先に再度 南家城川口用水として流れ出していく。
用水の結合点が川の標高と一致するので 状況に応じて 用水を流れる水の量を調整することができ、水の管理がしやすい。
(通常 用水路が川と交差する場合は 川を橋(掛樋)で上から越えるか、逆サイフォン(伏越)で下から潜るか、
 或いは川と一旦川と合流させ 下流から取水する例が多い。このように川と合流させて 同じ場所(標高)から取水するのは珍しい。)

奥に見える鉄橋は JR名松線(関ノ宮 家城間) 川は雲出川の支流。約150m下流で雲出川に流れ込む。

街中、農地を流れる用水路の風景

頭首工付近に建てられた石碑

 頭首工付近の記念碑

 
疎水百選の案内図(頭首工付近)

世界かんがい施設遺産 ・疎水百選 参考HP

世界かんがい施設遺産 農林水産省案内
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kaigai/ICID/his/attach/pdf/26_whis.pdf

ICID(International Commission on Irrigation and Drainage
http://icid-ciid.org/award/his_details/78

疎水百選
http://midori.inakajin.or.jp/sosui_old/mie/a/298/index.html

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