水利組合 企業農業参入 土地改良

水利組合

グローバルな視点から見た水田農業の評価(真勢徹)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/suirikagaku/47/5/47_1/_pdf/-char/ja
・3thWWF(京都)「農業、食料と水に関するセッション」
・公平性と持続性の側面から効率性を考えることが重要である。
・アジアの水利共同体組織
 ・日本の惣や井組(土地改良区の前身)
 ・韓国の興農契(農地改良組合の原単位)
 ・台湾の埤圳(農田水利会の原単位)
 ・中国の圩田 江南地方で堤防で囲われた田
 ・フィリピンツアンフェラ(Zanjera)
 ・インドネシアのスバック、ラクサブミ(Raksabumi)
 ・タイのムアンファイ
 ・
カンボジア サマクーム コルマタージュ
 ・ラオス ナワン(Na Wan)
 ・
バングラデシュ コミラ(Comilla)
 ・
ネパール トーリス
 ・
インド、パキスタン ワラバンディー、オスラバンディ
・スリランカ(サルボダヤ運動)自然との賢い接し方 地域資源の持続性
・タイ(サンガ(僧侶)による農村秩序の維持)
・⇔EUR(チューネン理論=市場との地理的位置関係から各村落の優劣が決まる)
⇒アジア社会は、「モンスーン的気候風土」「資源利用保全における集団的対応」「水田農業」を主要な三要因として成立

農業水利におけるガバナンスの発展とソーシャルキャピタルの蓄積(山岡和純INWEPF))
https://todai.tv/contents-list/2006-2009FY/2009autumn/10/lecture.pdf
・コモンズとしての水資源、私有財としての水
 ・カンボジアの田越灌漑(水利慣行)
 ・愛知用水の水融通(農業用水と水道用水)
 ・ゲーム理論による農業用水と水道用水(非協力ゲーム、繰り返しゲーム)
 ・水利ガバナンス=管理者と利用者の人格が重複
   =ユーザー個人間の信頼感や互恵性に裏打ちされたネットワークの構築が重要
   =Social Capital(社会的関係資本)規範、信頼、ネットワークといった社会組織
    ⇒人々の協調的行動を容易にさせることで社会の効率を改善させる
・土地改良事業は、日本各地の農村で水利ガバナンスの経験とと社会的資本蓄積との間の二重の正のスパイラル形成を促して、全国的にミニマムSCを蓄積し、国土の保全、社会の鑑定に貢献
・ガバナンス指向型公共事業制度と社会的資本
 土地改良事業制度の概略
 1949 土地改良法施行
 1947~1950 農地改革⇒自作農主義
 1961 農業基本法制定(農工間格差是正)
 1963 圃場整備事業の制度化(区画整理と一体化した用排水路整備が可能となる)
 ⇒「水利ガバナンス内蔵型灌漑管理システム」=アジア各地で見られる

水利組合

四社五村 山西省 不灌而治
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390290700175822976

スリランカ カンナミィーティング(耕作会議) 下記参考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsidre2007/76/4/76_4_341/_pdf 
  伝統的水管理 パング 農地面積に応じて決められた灌漑用水路を管理
         シュラマダナ 決められた日に集落の農民が集まって共同で維持管理

タイ ムアンファイ
http://soil.en.a.u-tokyo.ac.jp/jsidre/cgi-bin/anual.cgi?search=0307-46&mode=1

フィリピン ツァンフェラ

志賀高原 和合会

日本の土地改良区、惣や井組(土地改良区の前身)
参考:https://todai.tv/contents-list/2006-2009FY/2009autumn/10/lecture.pdf

土地改良区

1949 耕地整理法、水利組合法、北海道土功組合法、農地開発法の4法を統一し、土地改良法が制定されました。土地改良法(1949)により、県知事の認可を受け設立される農業者の組織(法人格がある公共組合)
・農家の要望に基づき 用水確保するための農業排水路やため池・頭首工・用排水機場などの新設・更新・維持管理、農道整備を行う
・土地改良区が行う事業=土地改良事業 農家の申請により2/3の賛成で実施 施設=土地改良施設
・その地域のすべての農家で構成
・賦課金徴収=土地改良事業による負担金、土地改良区運営費・土地改良施設維持管理費
 農業水利事業 

1947~1950の農地改革=自作農主義

土地区画整理法

農業競争力強化プログラム
・土地改良区の在り方 土地改良区の組合員資格 土地改良区の体制

土地改良法
1949 制定の理由
(1) 耕作者中心の制度へ切替え
(2) 制度の統一
(3) 国県営事業の制度化
(4) 農地集団化の制度化

1957改正の内容
(1) 土地改良事業の開始手続きの簡素化
(2) 特定土地改良工事特別会計の設置
(3) 土地改良事業団体連合会の法制化
(4) 土地改良財産関係規定の整備 

2001
(1) 環境との調和への配慮(事業実施に当たっての原則に位置付け)
(2) 地域の同意を踏まえた事業計画策定のための手続(市町村協議、国営・都道府県営事業の計画
概要に対する意見書提出)の整備
(3) 市町村営事業に係る負担金徴収についての土地改良区ルートの創設
(4) 土地改良施設の適時適切な更新のための手続の整備(土地改良区が国県営で行うべき旨を申請
できる施設更新事業の対象として市町村管理施設を追加、土地改良区の特別議決による同意に
基づき国県営事業として行うことができる施設更新事業の範囲の拡充)
(5) 組合員以外の特定受益者に対する賦課の透明性の確保
(6) 国営及び都道府県営事業の廃止手続及び費用負担の規定の整備
(7) 創設農用地換地の取得者の拡充

2013
【農地中間管理事業の推進に関する法律による改正】
(1) 国営及び都道府県営事業の申請主体の農地中間管理機構を追加
農地中間管理機構(2014年)

2017 改正の内容
(1) 農地中間管理機構が賃借権等を有する農用地を対象とする,申請によらない都道県営事業の創設
(2) 農業用用排水施設の耐震化事業の創設
(3) 土地改良施設の突発事故被害復旧事業の創設
(4) 除塩事業の土地改良への位置付け
(5) 国営及び都道府県営事業の申請人数要件(15 人以上)の廃止
(6) 施設更新事業における同意手続の簡素化
(7) 土地の共有者等の取扱いの見直し

・2018「農地中間管理機構関連農地整備事業」
⇒農地中間管理機構が借り入れた農地について、農業者からの申請によらず、都道府県営事業として、農業者の費用負担や同意を求めない基盤整備をできる制度を創設

(背景:担い手集積のためには、農地中間管理機構と圃場整備事業の連携が不可欠、土地持ち非農家は整備の負担に消極的)
農地中間管理機構と連携した基盤整備事業 県の基盤整備部局,土地改良区との連携機構関連事業
*機構が農地所有者に対して農地中間管理権を取得する
*費用負担:従来の農業者の費用負担分(事業費の12.5%)の全額を国が負担
(国=50%→62.5%, 県=27.5%, 市町村=10%, 農業者12.5%→0)
①事業対象農地の全てについて、農地中間管理権が設定されていること
②各団地の合計面積(事業実施範囲)が一定規模以上あり、かつ各団地が一定の要件に適合すること
③機構の借入期間(中間管理権の設定期間)が、事業計画の公告日から一定期間以上あること
④本事業の実施により、担い手への農用地の集団化が相当程度図られること
⑤本事業の実施により、事業実施地域の収益性が相当程度向上すること
 2035年まで全農地の8割を担い手に集積

1963 圃場整備事業の制度化
 大型農業機械の利用が可能 労働時間の削減→工業への労働力提供

用水管理、用排水私鉄の維持管理と回収 農道管理

1953 農業機械化促進法

大区水田 30a →1hq

スマート農業 
*AI, GPS センシング 無線技術 ドローン 遠隔操作 ⇒低価格化が課題
・自動走行システム⇒無人トラクター リモコンで動く草刈り機、 
・自動水管理システム⇒水田の給排水 地下灌漑システム
・生育状況の可視化→栽培モデル、出荷予想システム
・WAGRI(農業データ連携基盤)⇒データ連携・共有・提供機能を有するデータプラットフォーム(2019)

明治の近代化
老農の技術 船津伝次平 農談会を通じて全国に広まる
商品作物 生糸 富岡製糸場
作物の多様化 生産性向上→工業部門の発展
第二次大戦→農地改革 小作地46% 10%以下 地主制の解体 自作農
1948 農業改助長法 農業普及事業
1947 農業協同組合法 信用、購買 共済
1960 食糧管理制度の改正=生産者米価を上げる=赤字
1970 総合農政 自主流通米制度(良質な米のみ政府を通さずに流通OK) 減反政策

1961 農業基本法 
背景:高度経済成長により、農業と工業の所得格差
方針転換:自作農維持と食料増産→自立経営の育成・作物の選択的拡大(米から収益性の高い作物へ)・経営規模の拡大
・農業構造改善による農業生産性の向上(機械化、農産物価格の安定化 農業生産基盤の強化
→農業後継者の不足
食糧管理制度 コメの過剰時代へ 減反政策 麦 大豆 果実へ
農産物自由化
1988 牛肉・オレンジの輸入自由化(1991から)
1992 「新しい食料・農業・農村政策の方向」(新政策)を農林水産省が公表
→国際化への対応、農業政策+食料政策と農村政策、効率的かつ安定的な農業経営
1993 GATTウルグアイラウンド 安価な輸入品との厳しい競争
1993 記録的冷夏 コメの輸入増
1995 コメの部分的自由化 ミニマムアクセス(国内の4%~8%の輸入自由化)
1995 新食糧法(食糧管理制度の廃止による競争力の強化。減反政策の廃止。計画外流通米を許可。コメの販売を許可制から登録制へ)
1999 コメの関税化(輸入自由化) 高額な関税
2008 事故米流通問題

1999 「食料・農業・農村基本法
食料の安定供給の確保に加え(食糧安全保障)、農業・農村の多面的機能の発揮、農村振興を図る
・農業農村整備は多面的機能に対応し、
2000 「中山間地域等直接支払い」の創設
2007 「農地・水・環境保全向上対策」(後に「農地・水保全管理支払」)の創設
2014 「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」に基ずく日本型直接支払いへ
2024 改訂
基本的政策
①食料安全保障の確保
②環境と調和のとれた食料システムの確立
 ・多面的機能の発揮
③農業の持続的発展
 ・多様な農業者による農村の確保
 ・農業法人の経営基盤の強化
 ・農地の集団化
 ・スマート技術を活用した生産性の向上
④農村の振興
*付帯決議:GHG排出削減、生物多様性の保全、有機農業の推進
*関連三法の成立
 ・食料供給困難事態対策法
 ・農地関連法
 ・スマート農業技術活用促進法

ストックマネジメント
(補修を計画的の行い 長く利用できるようにする)
2002 「農業水利施設保全対策事業」によりライフサイクルコストの概念を導入
2007 「国営造成水利施設保全体対策事業の拡充」建設から更新へ軸足を移す

災害対応
2010 農業農村整備事業予算の大幅削減
2011 東日本大震災
2013 「国土強靭化基本法」
2019 「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」
2020 「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」

(参考)社団法人農業土木事業協会(50年の技術の歩み Jagree99 2020.11)

課題
農業の国際競争力強化 農地の集積 経営規模の拡大 農業の担い手 食料生産能力の確保自給率39% 耕作放棄地
農業と環境との調和 中山間地域を守る
取組①農業のイノベーション(AI スマート農業 植物工場)②新たな農業の担い手(農業法人 集落営農の法人化)③農産物の輸出促進 途上国の課題解決 ④農業の6次産業化

品種改良 農事試験場 肥料の進化 草木灰 糞尿 堆肥 化学肥料(1900年ごろから)
病害虫と雑草の防除 1732 競歩の大飢饉 ウンカと冷夏 除草剤 寒冷地 農薬散布ドローン 農業機械化 江戸脱穀用農具が発達 1953農業機械化促進法 ハンドトラクター(耕運機)田植え機 コンバインハーベスター 灌漑設備の発展 

農業農村整備事業
1960 予算科目の変更 食料増産対策費→農業基盤整備費:労働生産性向上、農業機械化促進に重点を置く
1963 圃場整備事業の創設 30a区画を標準に圃場整備を進める
1986 高度利用集積大区画圃場整備事業の制度化により大規模経営を可能とする大区画補助の整備が開始

→良好な営農条件を備えた農地や農業水利施設は、我国の農業生産を支える重要なインフラであり、農林水産省では、農業農村整備事業により 農地・農業水利施設の整備を実施している
①農地整備事業 農地の大区画化・汎用化、畑地灌漑施設の整備
②かんがい排水事業 農業水利施設(ダム、堰、水路、ポンプ場等の整備)
③農地防災事業 農地の湛水被害防止、ため池の改修、地すべり対策など
④農村整備事業 農村集落排水施設、農道、情報通信環境などの整備
土地改良長期計画
・R3~R7までの5年間を対象年度とした新たな計画がR3閣議決定された
・3つの政策課題に取り組む
①生産基盤の強化による農業の成長産業化 スマート農業 高収益作物への転換
②多様な人が住み続けられる農村の振興 
③農業農村の強靭化 防災対策 ため池対策 田んぼダム流域治水 ICTを利用した水管理

農地法

我が国においては、農地法上、法人が農業に参入する場合、農地を所有できる法人は農地所有適格法人(※1)に限られており、その他の一般法人(※2)は貸借による農地の権利取得が認められています

※1農地所有適格法人:次の①~④の要件を満たす法人
 ①法人形態:株式会社(公開会社を除く)、農事組合法人、持分会社
 ②事業内容:売上高の過半が農業(自ら生産した農産物の加工・販売等を含む)
 ③議 決 権:農業関係者が総議決権の過半を保有
 ④役 員 等:役員の過半が農業に常時従事。役員または重要な使用人の1人以上が農作業に常時従事

※2農地所有適格法人以外の一般法人:次の①~③の要件を満たす法人
 ①農地を貸借する法人とその所有者の間で解除条件付きの契約を締結
 ②地域における適切な役割分担の下に継続的かつ安定的に農業経営を実施
 ③業務執行役員または重要な使用人の一人以上が耕作等の事業に常時従事

経営生産のスタート
1992「新しい食料・農業・農村の基本方向」(新農政プラン)
2006 
2009 農地法改正:農地の賃借による農業参入は誰でも可能とする。(所有権の移転はできないことはそのまま)
2014 「農地中間管理機構(農地バンク)」の創設。農地の集積と、農地の法人への斡旋
2016 農地法改正:農地を所有できる法人の要件について、法人が6次産業化等を図り経営を発展させやすくする観点から
見直しを行う
https://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/youkenminaoshi.pdf

例;農事組合法人和郷園

参考:希望の日本農業論 大泉一貫2014 NHKBooks

一般企業の農業参入の展開過程と現段階 農林統計出版 大仲克俊

参入企業
・イオン セブンイレブン ローソン JR九州 矢崎
・食品企業 自己完結型

2002 構造改革特区制度利用して 一般企業が農地貸借を通じて直接に農地利用を伴う農業参入を行うようになった

2009 農地制度の改正は一般企業の農地貸借の要件を大きく緩和 一般企業の農業参入が自由化 但し参入できる地域は地方自治体が決める

・旧農地リース制度=構造改革特区 特定法人貸付事業
・現行の農地リース制度=解除条件付農地貸借

2015 農地制度改正 農業生産法人は 農地所有適格法人となり、一般企業による当該法人への出資は取引関係の有無に関わらず50%まで可能となった

・一般企業の農業参入は農業の担い手が減少し 農地の荒廃が進んだ地域で先行

一般企業が農地利用を伴う農業参入を行う2つのM?f.方法
1.農地リース制度による借地
2.農業生産法人制度への出資等を通じて経営に参画

熊本県 農地リース制度による農業参入が急進
2009企業等の農業参入支援プロジェクトチーム設置
2013地域調整型企業支援
初期投資 雇用者の農業研修 技術取得のためのソフト事業 農業機械の購入の補助等

課題 
販路の開拓 農業技術の習得 資金調達 生産物の単価 生産経費 商品開発 経営に関する情報の入手 農地の確保 労働力の確保 地域との関係 高付加価値化 差別化

参入事例
コスモグリーン庭好 浜松
JR九州 国の強い農業づくり交付金
農業施設 機械への投資としてスーパーL資金

POINT
農業においては、既に廃業となり耕作放棄地が多く発生している中で、その予備軍として後継者がいないとして一定の収入を維持できるのにもかかわらず、現世代で農業を辞める予定の方も多い。
地方自治体としても、地域活性化のためには 地方での産業を維持するためにも農業が続いていくことは必要で、その継続のために補助金を出しているケースも多い。

2009年の農地法改革により、一般企業の農業参入が容易となり 既に200社以上の企業が参入しているが、成功例は少なく 発展のスピードも遅い。

後継者のいない農地の確保、古参者からのノウハウの取得、補助金の確保、大規模化による効率化(従業員のシフト調整、保険、農業機器の利用、水の利用などの取引コストの減少)、など 好条件がそろっているのにもかかわらず、なぜ農業ビジネスがそれほど進展しないのか?進展を阻害しているものを探すことが必要である。

主な農業政策

①人・農地プラン:地域全体に関わる
②米政策改革:各営農類型毎
③経営所得安定対策
④農業次世代人材投資資金
⑤農の雇用事業
⑥農商工連携
⑦6次産業化
⑧地理的表示保護制度
⑨GAP

リンク

食料自給率

農業土木50年の歩み

農業土木事業協会50年の技術の歩み202011

農業水利の歴史から

 

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