水の論評

吉村和就(Global Water Japan) 2022年 水ビジネスの展望(環境新聞)
1.水関連デジタル化の波
 ・経営環境の改善、地球温暖化による水災害の防止、
  減少する労働力の補完、タイトなサプライチェーンの改善
 ・米国でのデジタルベンダーの活躍
 ・米国議会の1兆ドルのインフラ投資を可決
2.ヴェリオラとスエズの合併
 ・世界のutility businessに邁進
3.みやぎ型管理運営方式
 ・宮城県が運営する上工下水9事業のコンセッション
4.水処理会社の経営統合の動き
 ・JFEエンジニアリングと月島機械の水エンジニアリング事業の統合

国内水ビジネスの展望
1.水道事業関係
 →「水道広域プラン」(地方財政交付金付き)の策定指示
 ・総務省、厚生労働省が2019年1月に各都道府県知事に出した。
  →策定内容の公表が大きなビジネス指標となる
2.下水道事業関係
 ・下水道のゼロエミッション化
  エネルギー自立型の下水処理場、下水処理水の活用(養殖、熱源利用)
  汚泥の資源化(コンプスト、燐の回収、バイオマス資源としての活用)
 ・不明水対策の市場拡大
3.上下水道のDX化が加速
 ・広域監視システム整備、自動運転化
 ・AIによるエネルギー活用の最適化
 ・スマートメーターの導入
 ・IOT,AI活用によるアセットマネジメント推進
 ・衛星探査による漏水対策
   「ユーティリス社」(イスラエルのベンチャー企業)の漏水探査技術
    →JAXAの衛星「だいち2号」を活用したマイクロ波による探査
    →老朽管が増加している国内水道事業体に大きな戦力になる
     (豊田市で実証実験中)
https://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1043553/1044032.html

「水と食料とエネルギー創造」の三位一体型で地域創生に貢献
「大船渡浄化センター包括運営事業」(大船渡市とメタウォーター)
 アクアポニックス(養殖と農業の合体事業)

以下諸子百家 湯浅邦弘中公新書
「水屋の富」
落語:江戸時代に水を汲んで商売にしていた人
「老子」
上善は水の如如し 水は善く万物を利して而も争わず
衆人の憎むところに処る。故に道に近し(8)
天下に水より柔弱なるはなし。而も堅強なる者を攻むるに、之によく勝つことなし(78)
「孫子」虚実編
夫れ兵の形は水にかたどる。水の行くは、高きを避けて下におもむく。
兵の形は、実を避けて虚を撃つ。水は地に因りて流れを制し、兵は敵に因りて勝ちを制す。故に兵に常勢無く、水に常形無し。よく敵に因りて変化して勝ちを取るもの之を神という。
「太一生水」郭店書簡の一つ 道家書籍 宇宙の本源は太一 触媒は水

Rivers of power
・1927年ミシシッピ川洪水 クーリッジ大統領、地元の要請(大統領が来れば義捐金が集まる)を聞かず、災害現場に行かなかったことで支持を失う(=共和党の北部地域での失墜)
⇒以後、各大統領は災害現場に赴くようになった。・1928,1936洪水防御法(Flood Control Act)
・蒋介石の堤防爆破 

P191: 1889年South fork damの決壊
⇒strict liability 厳格責任(被害者は懲罰的賠償を求めることができる)判例:1868年Rylands v Fletche(英、過失責任の明確化)
第5章 巨大プロジェクト
P202:GERD(大エチオピアルネサンスダム)
⇒1959年:ナイル川水協定 エジプトに55.5㎦/年 スーダンに18.5㎦/年
 1999年:ナイル川流域イニシアティブ(NBI)立上げ
 2011年:エチオピアが青ナイル川に巨大ダムの建設を発表
             エチオピア、ウガンダ、ケニア、タンザニア。ブルンジ、ルワンダがナイル流域の水の利用に調印
P214:大規模ダム
先駆け⇒フーバーダム、グランドクーリダム、フォートベックダム、TVAのダムシステム
1950,60年代⇒アンガラ川、エニセイ川(ブラーツクダム、クラスノヤルスクダム)、インダス川(タルベラダム)、サトレジ川(バクラダム)
現在⇒三峡ダム、ベロモンテダム(ブラジル)、グランド・インガダム(コンゴ川)
P222:運河 ジェームズ・ブリンドリー運河(英)、ドルトムント・エムス運河、キール運河(1895),エリー運河(1825)
P228 1960年「州水計画」北部の水を南部へ
P232 河川分水計画①南水北調_中線=漢江から北京へ②トランザクア(コンゴ川からチャド湖へ)③NRLP(全国河川連結プロジェクト)
第六章:豚骨スープ
P250 米の環境保護 1980年 CERCLA(包括的環境対処・補償・責任法)からSuper Fund Program 誕生・RCRA(資源保全再生法)1976(フォード大統領)を修正して成立 1983年ラブ運河=最初のsuper fund site
・きっかけ 1969 オハイオ川の自然発火事件
⇒1970 ニクソン 環境保護主義の新たな10年 EPAの設立
⇒水質浄化法、大気浄化法、有害物質規制法、RCRA,CERCLAの施行
・中国 習近平2017環境保護を主張
第7章:新たな挑戦
2015 サンクレメンテダムの撤去
ダム被害の軽減①デザイナーフロー②土砂通過技術③流れ込み式ダム
P324 ロサンゼルス都市圏水道公社:カイトリンガー「地域再生水プログラム」⇒地下水補充システム(GWRS Groundwater replenishment system
P356 データ
SWOT Surface water ocean topography 表層水観測衛星
GPM 全球降水観測
クラウドサット衛星
SMAP 土壌水分観測衛星
GRACE Gravity Recovery and climate Experiment) 重力観測衛星 地下水が枯渇している地域を検知

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